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【歌詞解釈】Hey! Say! JUMP「狼青年」


Hey! Say! JUMP - 狼青年 [Promotion Video (Short Ver.) ]

 

作詞・作曲:薔薇園アヴ

「僕と俺」とを使い分けて

心ゆくまで嘘を吐く

怖いものを知らない真実が冷たく光る

「僕と俺」の自分を使い分けて、思う存分嘘を吐く(「僕と俺」は表裏一体で切り離せない)。 何も恐れず怖いもの知らずにふるまうほど、真実は残酷でぞっとするほど冷たく感じられる。

 

臆病なフリしてないで

さぁ 面影重ねて迷い込んで

きみを護る狩人はとっくに美味しく、ね

きみも臆病なフリしてないで(本当は興味があるくせに)、誰かの面影を重ねて迷い込んできて。きみを護るはずの狩人はとっくに美味しく食べちゃったから、誰も助けになんてこないよ。

 

名前なんていいから好きに呼んで忘れて

理由ばかり欲しがるアリバイを壊して

真面目なキス まるで手品のよう

暴くブラウス 床に落ちるベルト

僕の名前なんて好きに呼んで、そんなのどうでもいいから忘れて。ちゃんと名乗らない理由ばかり欲しがるけど、わざと痕を残すからあとで思い出してよ(存在しなかったなんて思わせない)。真剣にキスしてるとまるで手品みたいに従順になって、嫌がりもしないんだね。

 

狼少年、もう一度駆け出したらもう帰れない

たとえ誰の涙が胸に光っても

遮るものなどなにもない 不実な心が眠るまで

このまま彷徨い続けてゆく僕は、狼青年

狼少年が、もう一度駆け出し始めたらもう元の場所には帰れない。たとえ誰かの悲しむ涙が見えたとしても、もう帰れない。行く手を遮るものなどなにもない。不誠実な心が静まるまで止まれない。帰り着く先(安らぎ)などなく彷徨い続けてゆく僕は、もう少年ではなく狼青年(になってしまった)。

 

嘘吐き呼ばわりする側で指から煙を奪い取って

本音を吐くきみに、僕も種明かしを

臆病なフリをしていたけどこういうこと手慣れてるねと、僕が嘘吐き呼ばわりする傍らで、タバコを奪い取って本音を吐くきみに、僕も種明かしをしようか。

 

「あいつのキスそっくりでしょう?きみがいつか泣かせた」

さよならは今夜 俺らは街を出るから

怒鳴り声 ドアを背に響く

許さなくていい 窓辺に映る嘘、月

「きみがいつか泣かせた、あいつのキスにそっくりでしょう?」さよならするのは今夜。俺ら(俺とあいつ)は街を出るからもう二度と会うことはない。きみの怒鳴り声が、ドアを背にして響く。でも僕を許さなくていい。窓辺に映るのは僕の本当の姿で、月明かりが照らしている(まるで月の光が狼男を暴くように)。

あいつとは誰なのか?少なくとも僕は、あいつのために復讐を決意し、きみに近づいたのは確かだと思います。「俺ら=俺とあいつ(自分と他人)」だと思います。おそらく、「僕=狼少年」「俺=狼青年」であり、「狼青年(俺)として街を出ていく」のかなと、無理やり深読みしてみました。

 

おとぎ話ならいつか落ちる雷

でも思い上がりかな罪も罰も白々しい

牙を出して戯れたい俺首輪なんかじゃ飼えない

煉瓦の家さえ吹き飛ばして何処へだってふらり

おとぎ話だったら、いつか天罰として雷が落ちるんだろう。上手くいきすぎてうぬぼれてるのかな、罪も罰も見えすいている。本性を出して戯れたい。俺は手懐けられたりしない。安心できる場所さえ吹き飛ばして、何処へだって行ってしまう。

 

狼少年、もう一度駆け出したらもう帰れない

帰らない!

狼少年が、もう一度駆け出し始めたらもう元の場所には帰れない。自ら帰らないと決めた。

 

狼少年、もう二度と駆け出したからもう帰れない

たとえ誰の涙が胸に光っても

遮るものなどなにもない 不実な心で眠るまで

このまま彷徨い続けてゆく

出来の悪い夢より嘘で手繰り寄せてゆく安らぎへ

ふたり番う僕ら、狼青年

 

「俺と僕」との隣り合わせ

さぁ 心ゆくまで嘘を吐いて

狼少年は、もう駆け出してしまったから二度と帰れない(誰にも止められない)。出来の悪い夢みたいな現実より、嘘を塗り固めてたどり着く安らぎへと駆け出してゆく。ふたり番う僕と俺が、狼青年なんだ。「俺と僕」が隣り合わせで、思う存分嘘を吐いていく。

「僕と俺」から「俺と僕」になったのは、「僕=狼少年」より「俺=狼青年」でいる時間が長くなったからだと思います。
狼少年と狼青年の違いは何でしょうか。狼少年の時より、狼青年のほうが取り返しがつかない(元には戻れない)ようなイメージがあります。狼少年は面白いから嘘を吐くという無分別な残酷さ、狼青年はどうなるのか十分理解しながらあえて嘘をつく残酷さがあるかな、と私は思いました。